- 夫は自己愛性パーソナリティ障害かも
- 離れなきゃだけど離れたくない
- 自己愛の性質、治していきたい
不倫やモラハラで妻子を傷つけても平気な夫。
「なんで苦しい気持ち伝わらないの?」
「子どもの人生どうだって良いの?」
調べていく中で、自己愛性パーソナリティ障害という結論に辿り着くことがあります。(障害の断定は困難のため、当サイトでは「自己愛人間」と呼ぶ)
一緒に治していきたい!まずは本人に自分が自己愛性だと認識してもらって…
それはダメ!指摘すると取り返しがつかなくなるよ。
実は、本人に自己愛性の指摘をするのは、一番してはいけないこと。
「醜い自分」を突きつけられたと認識し、自己愛憤怒(じこあいふんぬ)という激しい怒りに変わるから。
逆恨みされ、一緒にやっていきたいという気持ちも虚しく、自分の首を絞める結果になりかねません。
この記事では、元サレ妻で現夫婦心理カウンセラーである筆者が、自己愛憤怒の仕組みと対処法について解説します。
筆者の元夫も自己愛人間。歪んだ自己愛を他人が変えるのは非常に困難です。
怒りの仕組みを理解し、身を守っていきましょう。
自己愛憤怒|自尊心の傷つきに対する怒り
自己愛憤怒は、自己愛人間が持つ特有の怒り。
歪んだ自己愛を抱える人間。空想上の「イケてる自分」に過剰な愛を持つ。共感性がなく他者を傷つけても平気。そのくせ他者承認を異常なほど欲する。
「自己愛憤怒」とは、1972年にオーストラリア出身の精神科医、ハインツ・コフートによって作られた言葉です。
プライドが非常に高い自己愛人間。その自尊心が傷ついたときに呼び起こされる激しい怒りを、自己愛憤怒と呼びます。
つまり「俺の自尊心を傷つけやがって!」という怒り。
自己愛憤怒が起こる背景には、自己愛人間の心の中の傷が関係しています。
自己愛憤怒が起こる仕組み
人は本来、相手が何か悪いことをしたときに、怒りという感情が沸き起こるもの。
しかし自己愛人間の怒りは、相手に関係なく、自分の欠陥を受け入れられないがために生じます。
仕組み1:大きな劣等感の存在
自己愛人間は自信たっぷりで虚栄を張っていますが、実は心の中に大きな劣等感を抱えています。
理由は様々。
- 親から十分な愛を与えられなかった
- 親に過度に甘やかされて育った
- 親から歪んだ愛情しか注がれなかった
幼少期のこれら経験からくる傷が、自己愛の歪む原因になると言われています。
本人も自分の中の劣等感の存在には気づいていません。
仕組み2:誇大な自己像への妄想
自己愛人間は「俺は特別」と思っています。
そう思わないと、不完全な自分を認識することになるから。
自分の中の劣等感を認めてしまえば、無意識化に沈めた傷が呼び起こされてしまいます。
だから自分を大きく見せることで、劣等感を必死に誤魔化しているのです。
- 俺はイケてる
- 俺は褒められるべき
- 俺は間違ってない
一見自分への過剰な愛を持っているように見えますが、本当は自分自身を上手く愛せない人間。
他者からチヤホヤされ「イケてる自分=本当の自分」と思い込むことで、脆い自己を支えています。
仕組み3:自己愛損傷への防衛反応
自信満々な姿でイケてる自分を演出している自己愛人間。
ただ、隠している劣等感に触れられたとき、自己愛人間は大きな傷を負います。それが自己愛損傷です。
- 欠点や間違いを指摘された
- 不倫相手との仲を引き裂かれた
- 人格否定された
- 自分の醜態を晒された
- 自分に責任を負わされた など
めちゃくちゃ自分勝手!
自己愛人間は劣等感の存在を絶対に認めたくないため、常に「自分は正しい。自分を否定する者がおかしい」と思っています。
傷つきを避けるため、被害者ヅラし自己正当化。
しかしいざ確信を突かれ自己愛損傷が起これば、傷つけた相手を敵とみなし猛攻撃します。これが自己愛憤怒。
ちっぽけな自分を守るための必死の戦略とも言えるでしょう。
健全な怒りと自己愛憤怒の違い
怒りの感情は人間誰しも持っており、決して悪いことではありません。
しかし怒りには、健全な怒りと不健全な怒りが存在するのも事実。そして自己愛憤怒は、明らかに不健全な怒りです。
自己愛憤怒はどうして健全じゃないの?
怒りの原因と矛先が一致してないからだよ。
健全な怒りは、相手の問題行動に対し生じるもの。怒りの原因と矛先が一致している状態です。
それに対し自己愛憤怒は、自分の中に問題を抱えているにもかかわらず、怒りの矛先を相手に対して向けている状態。
怒りの原因と矛先の不一致です。
本人の中では「自分は正しい。相手が間違い」という思考。
さらに問題なのは、矛先を向けられた人自身も、相手の卑劣な言葉を鵜呑みにしてしまうこと。
例えば不倫夫に苦言し、逆に責められる妻。
夫の不倫で傷ついているのは妻なのに、健全な怒りを抑え自分を責めれば、自己感覚を失います。
- 信じてあげられない自分はダメだ
- 私が至らない妻だからダメだ
- 女性らしさを怠った私に原因がある
- もっと良い妻でいなきゃ
相手の問題を自分の問題と混同し、自分に対し怒りを向けている状態も「不健全」です。
不健全な反省を続けるほど、自己愛人間にとって自尊心満たしの養分に。
怒りの矛先を間違えた者同士の組み合わせは、共依存の要因にもなります。
自己愛憤怒による自己愛人間の行動
では実際、自己愛憤怒を起こした自己愛人間はどのような行動をとるのでしょうか?
心の中では非常に怒っており「俺を怒らせたお前が悪い」という思考。まともな話し合いは不可能です。
怒りにより表れる態度は、上・下・回避・裏の4通りに分かれます。
行動1:暴言・暴力・罵り
怒りをあからさまに表し、上から威圧し攻撃的になります。
- ひどい言葉を浴びせる
- 人格を否定する
- 暴力を振るう
- 物にあたる
- 家から追い出す など
また、脅しをかけてくることも。
- もう離婚しかないね
- 第三者に言ったら名誉毀損だからね
- そんなことしたらお前への愛はなくなるね
追い詰められた自己愛人間は、高圧的な態度で相手の言動を抑え込みます。
行動2:相手の不当性を主張
あからさまな怒りを見せず、相手を下に下げることで自分を優位に立たせる人間も多くいます。
上から暴言や暴力など怒りの行動を見せた場合、自ら「悪者」の立場に躍り出ることに。
しかし「悪い自分」を隠したい自己愛人間は、心の中は怒りに満ちながらも、冷静さを装い相手の不当性をしきりに主張します。
- お前が俺にそうさせたんだよ?
- お前は自分のことばかりだよね
- 自分は間違ってないと思ってるの?
- そういう感情的なところ直さないとね
- もっと女らしさ意識した方が良いよ
怒りのターゲットを、無能で無価値でちっぽけな存在のように思わせ、自分の正当性を主張。
相手に罪悪感や恥の感情を植え付け、現実感覚を狂わせたら「はい勝った〜」のスタンスです。
そしていつの間にか責任の所在がすり替わります。
行動3:無視・逃げる
自分の責任を追及されたくない自己愛人間は、物理的に距離を取ることも。
- 相手の言葉を無視
- いてもいないかのように扱う
- 顔を合わせないように生活
- 家を出ていく
これ以上のダメージに耐えることができないため、現実逃避。
また相手に無価値感を植え付けるため、わざと無視を決め込む場合もあります。
弱い自分に向き合う度胸も、自ら歯向かう度胸もなければ、回避姿勢に転ずるのです。
行動4:悪口・報復
表向きは平常心を装いながら、裏で復讐心を抱く人間もいます。
自己愛人間の他者に対する視点は、敵か味方か。
自分をおだて自尊心を高めてくれる存在は味方です。一方、自分の劣等感を自覚させてくる者は敵。
必死で隠してきた傷を呼び起こす者は、何としても許すことができません。
- ターゲットの悪い噂を流す
- お金を渡さず経済的に苦しめる
また以下のような事例も。
不倫シタ側の自己愛人間。誠心誠意謝り、再構築中も素直な態度。慰謝料請求の時効3年が経過した途端、離婚を言い渡し家を出ていく。「何で?」と妻が聞けば、「お前に復讐するためだった」と言い放つ。
ここまで執念深いパターンは稀ですが、多少の復讐を企てる自己愛人間もいることは覚えておくべきでしょう。
不倫された上に見下されて、復讐したいほど悔しいのはこっちなのに…
自己愛の性質を自覚することはあるか
自己愛人間に自己愛の性質を指摘することは、自己愛憤怒を引き起こすため避けた方が良いでしょう。
他者からの指摘が難しいなら、自分で気づくしかありません。
自分でこの性質を自覚することはあるの?
残念ながら「ほぼありえない」が正解。
自己愛人間は自分が正義。卑劣な言動で他者を傷つけたとしても「俺悪くない、お前が悪い」という思考です。
「醜い自分」を感じることは心の傷を呼び起こすことなので、常に自己正当化しています。
「こんなことする自分はおかしいのかな?」と省みることもありません。
絶望的じゃん…
ただ、自己愛人間にも弱点があります。
それは味方の不在。自己愛人間が虚栄を張れる裏には、必ずイネイブラーの存在があります。
他者承認で生きる自己愛人間は、自分で自尊心を保つことができません。
不倫相手や親などのイネイブラーがいなくなれば、ハリボテの自尊心は崩れ、鬱症状になることも。そこで病院にかかり、初めて自己愛性に向き合い始める人もいます。
しかしその現実を受け入れる人は少なく、自己愛性の診断が下されることも多くはありません。
現実的な選択は以下の2択。
- 自己愛人間と離れる
- 愛を求めず共にいる
家族間で騙し合い、愛のない生活は、有害でしかありません。離れるのが最善。
しかし現実的に難しい場合もあるでしょう。
当たり障りのない取り扱い方をしながら、自分のタイミングで動ける準備をしていく形になります。
自己愛憤怒を起こした自己愛人間の扱い方
ではいざ自己愛憤怒を起こした自己愛人間は、どのように取り扱うのが望ましいのでしょうか。
ポイントは、相手にしないこと。
具体的には以下の通り。
扱い方1:反応しない
激しく怒りだした自己愛人間は、適当に放置するのが一番です。
いくら論理立てて説明しても、傷ついた感情を伝えても、無意味どころか火に油を注ぐだけ。
相手にするだけあなたの気力が吸い取られてしまいます。
- 感情的に反論
- 悪くもないのに謝る
- 自分を責める
- 相手の気持ちを思いやる
- 悲しむ姿を見せる
- 感情の理解を求める
これらはNG。
自己愛人間は、自分の言動で相手の感情が動く姿を見て「コントロール成功」と判断します。弱い奴とみなされ、卑劣な態度はエスカレート。
「なんか騒いでるぞ。自分の問題を私に転嫁してるんだ。ちょっと放っておこ」
そんなスタンスで大丈夫です。
扱い方2:人格否定しない
自己愛人間は怒るとあなたの粗をあげつらい、自尊心を下げてきます。
不当な扱いをされて苦しんでいるのはこちらなのに、さらに酷い言葉を浴びせられたら、平常心を保つのは非常に困難ですよね。
悔しさからつい挑発にのってしまい、相手のことを非難してしまいがち。
- そんなの人としてあり得ない
- 子どものことどうでも良いんだね
- 考え方おかしいって気づくべきだよ
その通りじゃん!
その通りだよ。でもこれを言うと、敵対心が強まるだけなんだ。
自己愛人間は非常にプライドが高いので、人格否定はアウト。いくらあなたの言葉が正論でも、聞く耳を持ちません。
「愚か者と同じ土俵に上がらない」その姿勢が大切です。
扱い方3:支配を受け入れない
酷いこと言われても我慢して受け入れろってこと?
我慢とは違う。相手の支配を受け入れては絶対ダメ。
自己愛人間は、いかにもあなたに問題があるかのように思わせてきます。
ですが絶対間に受けてはいけません。
これはあなたの問題ではなく、相手の心の問題です。
劣等感に向き合えないから、あなたを怒りでコントロールしようとしてる、心の弱い人間。
「自分が悪いんじゃない。弱いから吠えてるんだ」と思う癖をつけましょう。
支配に動じないスタンスを貫くことは、相手の攻撃意欲を次第に奪います。
ただ、否定すべきところは否定して構いません。
否定するのは相手の人格ではなく、あなたに向けられた攻撃に対してです。
- 私はそう思ってないよ
- そんなことしていないよ
- 気のせいじゃないかな
- あなたは〇〇って思ってるんだね
喜怒哀楽は見せず、ポーカーフェイスで毅然とした態度が◎。
質問には「あぁ。」「いいえ」「おうむ返し」のどれかで攻撃を跳ね返します。これら以外の侮辱する言葉や、ひっかけ問題のような誘導尋問は、無視で構いません。反論する価値もない。
全ての質問に誠実に対応する必要もありません。
怒ってるからなんとかしなくちゃなんて思わなくて良いし、勝手に怒らせておけば良いんです。
思うようにいかなくて駄々こねてる、ただの大きな2歳児だもんね!
扱い方4:記録する
ただ駄々こねてるだけなら良いのですが、あなたが悪者にされたままでは非常に厄介。
窮地に立たされた自己愛人間は、あなたの不当性をでっち上げ、自分の有利な方向に持っていこうとします。
- 元から夫婦関係は破綻していた
- ヒステリーな妻だった
- 子どものこと考えてない妻だった
- 俺はモラハラを受けていた
- 家事をまともにやらない妻だった
自分を守るためならどんな嘘でもつくのが、自己愛人間。
なので、真の夫の姿を記録しておきましょう。
- ボイスレコーダー
- 隠しカメラ
- 毎日日記をつける など
暴言・暴力・高圧的な態度・モラハラ・ヒステリー。
それらに耐えてきたのは、自己愛人間ではなくあなたの方。
事態が動いた時、弁護士や裁判所に提出することで、自分やお子さんを守ることになるかもしれません。
自己愛人間は、他者評価で生きているため外面が非常に良く、家庭外の人間は表向きの人間性に騙されてしまいがち。
奴らの真実の顔を記録できるのは、あなただけです。
記録している事実は絶対にバレてはいけません。特にカメラは細心の注意が必要。ボイレコ&日記が無難。
まとめ
自己愛傾向の強い夫を何とか改心させたい!
そう思い、本人に自己愛の性質を指摘することは、絶対にしてはいけません。
自己愛人間の中には大きな劣等感があり、その傷に触れることは彼らにとって致命傷です。
【自己愛憤怒】という激しい怒りを引き起こし、高圧的な姿勢はエスカレートするばかり。
「一緒にやっていきたい」というあなたの優しさや愛情とは裏腹に、さらに窮地に立たされてしまいます。
自己愛人間を取り扱う際は、劣等感を刺激しないこと。
- 反応しない
- 人格否定をしない
- 支配を受け入れない
- 記録する
相手の問題を自分のせいと錯誤しては、あなたの気力や思考力は奪われる一方です。
こんな奴に怯える価値ないよね!
支配を受け入れず対策をとりながら、あなたとお子さんの未来のための準備をしていくことが肝心です。
「自己愛人間を変えよう」はあなたにとって最大の足かせ。
そんな夫、本当に必要?変えていくのは、あなたの価値観です。
触れちゃダメ