- お前は自分のことばかりだよね
- スマホ見るとか犯罪だよ?
- 被害者ぶるのいい加減やめたら?
不倫して家族を傷つけているのは夫の方。
なのに自分のことは棚に上げ、責任転嫁してばかりの夫に、「それ自分のことじゃん!」「そっくりそのままお返しするよ!」と思った経験はありませんか?
中には次第に感覚がマヒし、「自分が本当に悪かったのかも…」と思い詰めてしまう人もいることでしょう。
不倫やめてほしいだけ。なのに私に問題があるみたいに言われるんだよ。
間に受けないで。それはあなたに向けられた言葉じゃないよ。
初めに感じた「自分のことじゃん」という感覚は大正解。まさしく夫自身のことを表します。
不倫夫による責任転嫁は、【 投影 】という心理メカニズムで成り立つもの。
この記事では、元サレ妻で現夫婦心理カウンセラーである筆者が、不倫夫による「投影」について解説します。
特に歪んだ自己愛を抱える人間は、投影による攻撃性が顕著。受け続けるほど気力が吸い取られてしまいます。
自分を見失わないためにも、投影の仕組みを理解し、適切な対処法を身につけていきましょう。
不倫夫による責任転嫁|正体は「投影」
不倫をやめてほしくて話し合おうとしても、責任転嫁のオンパレードでは、建設的な話し合いなど不可能ですよね。
自分の罪を追及されないよう、意図的に妻に責任転嫁する人もいます。
しかし本気で「妻が悪い、自分は間違っていない」と考える不倫夫も多いのが事実。
その根底には、「投影」という心理メカニズムが働いています。
投影とは心を守る仕組み
「投影」とは、自分の心を守る仕組みのこと。
自分の中に抱える劣等感や罪悪感。弱くて不完全だという感情。それらを感じることは、心に大きな負担を伴います。
だから「悪いのは相手」と脳内変換することで、「醜い自分」から目を背けようとするのです。
相手をスクリーンとし、受け入れたくない自己像や感情を、相手に映し出している状態。
- 不倫するダメな自分
- カッコ悪い自分
- 家族を傷つける自分
という罪悪感や恥の感情に向き合うことができないため、
- 自分勝手な妻
- 幼稚で自立しない妻
- 俺の心を傷つける妻
と、自己像を妻に置き換えます。
だから「自分は正当、むしろ被害者」だと本気で思うことができるのです。
投影同一視という理不尽な攻撃
投影の中に「投影同一視」という概念もあります。
投影との違いは、「思い込む」だけか、相手に「押し付ける」か。投影同一視は、相手に投影した自己像を「お前のものでしょ」と押し付け攻撃します。
- お前は自分勝手だ
- お前は色々求めすぎなんだ
- お前は自立していない
そうやって「醜い自分」を相手に押し付ければ、「醜い自分」を自分の元から手放すことができる。結果、自分は「善人」でいられます。
本人は、投影の事実も、自分の中の問題にも気づいていません。
だから不倫で傷つく妻に卑劣な言葉を浴びせようとも、「お前が悪い、俺は正しい」という思考が成立します。
※投影と投影同一視の境界線は分かりづらいため、この記事では「投影」とまとめます。
「実際にどうか」は関係ない思考
投影は、不倫夫の心のフィルターを通して行われます。
自分の中の問題を回避するのが目的であって、投影された側が「実際はどうか」なんて関係ありません。
妻がいくら綺麗で配慮ができて思いやりのある人間でも、彼らからしたら「悪いのは妻」。
なので、論理的な説明や感情を訴えることには何の意味もなく、むしろ不倫夫の攻撃性を高めるだけです。
自分は不倫してるくせに、私の細かい粗を持ち出して揚げ足取ってくるんだよ。
それは、本当にそこに不満があるわけじゃないよ。
「自分=善人」「悪いのは妻」が彼らの前提。後から「悪い妻」の理由探しを必死でしてるだけ。
だから訳がわからない理不尽な発言が飛び出します。
自己愛人間による投影が深刻化しやすい理由
不倫する人間は、簡単に欲に負ける心の弱い人間。
ゆえに、投影により罪悪感から逃れようとする人が多いのが現実です。
中でも特に「自己愛人間」は、投影による自己正当化と攻撃性が激しい傾向に。
歪んだ自己愛を抱える人間。空想上の「イケてる自分」に過剰な愛を持ち、それを本当の自分と思い込むことで脆い自己を支える。承認欲求の塊。自己愛性パーソナリティ障害と診断されることも。
単なる心の弱さで片付けられるものではなく、自己愛人間特有の性質が、投影による卑劣な攻撃を深刻化させています。
自己愛人間の投影が深刻化しやすい理由
理由1:大きな劣等感と高いプライド
自己愛人間は虚栄を張っていますが、本当は自分に自信のない小心者。
心の中にとても大きな劣等感を抱えています。
- 親から十分な愛を与えられなかった
- 親に過度に甘やかされて育った
- 親からの愛情が条件付きだった
- 両親が不仲で家庭に居場所がなかった
- 親からDVを受けていた など
幼少期に受けた心の傷が、自己愛の歪む大きな原因になると言われています。
本人も自分の中の劣等感の存在を知りません。むしろその傷を呼び起こさないために「イケてる俺=本当の自分」と思い込み、プライドの高い人間に。
自己愛人間の攻撃性が高い理由は、この「劣等感」にあります。
劣等感や恥の意識に触れることは致命傷なので、そこを刺激する者には非常に敏感。
特に不倫中は「悪い自分」を追及されないかと警戒心バリバリです。
だから帰宅時間を少し聞いただけなのに、すごい過剰反応で猛攻撃されたんだね。
常に「イケてる自分」を感じていないと自分を保てないため、不倫をしても「悪い自分」を認めることはありません。だから投影による攻撃が常習化します。
理由2:共感力の欠如
- 不倫したら家族悲しむよな
- こんなこと言ったら傷つけるよな
- 子どもの人生まで狂わせるよな
このような当たり前の感覚を持った人間であれば、不倫を思いとどまったり、妻が傷つく発言は控えるもの。
しかし自己愛人間は、妻が傷つこうと何とも思いません。
共感力が大きく欠落した人間だから。
他者は「イケてる俺」を満たすための道具にすぎず、相手の感情や人生には関心がありません。妻が不倫で悲しもうと、子どもの人生が壊れようと、お構いなしに平然と過ごします。
むしろ悲しむ姿や感情の訴えを、「劣等感を刺激するもの」として有害化。妻をさらに敵視します。
共感力がないから、弱ってる私に平気で暴言を浴びせれるんだね。
理由3:妻の愛や誠実さを利用
自己愛人間は、共感力はないくせに、他人の感情を利用することには長けています。
- 妻の信頼を利用して不倫に没頭
- 妻の誠実さを利用して嘘をつく
- 妻の罪悪感を利用して黙らせる
- 妻の優しさを利用して自己正当化
- 妻の愛情を利用して責任逃れ
自己愛人間は、他人の感情なんて単なる道具。
どれだけ愛情や思いやりを持って接しても、恩を感じる感覚がありません。
卑劣な言葉を浴びるうち、「自分に問題があるのかな」「私の考えすぎかな」と思えてきますが、それはあなたの感情を利用されてる証です。
この現象は【ガスライティング】。
誠実さのカケラのない者の言葉を鵜呑みにすれば、気力や自己感覚が吸われ、抜け殻のようになっていく。代わりに、自己愛人間の自尊心満たしのエサになります。
不倫下における投影の具体例
不倫夫は罪悪感や劣等感に向き合えないため、投影により責任転嫁を行うことは既にお伝えしました。
でも何が投影で何が本当かわからなくなる。
急に自分の非を突かれたら、落ち込むし混乱するよね。
ここでは、実際に投影で使われるセリフの具体例をあげていきます。
実は投影するのは不倫夫だけではありません。不倫夫の親もすることがあるのです。
具体例1:不倫夫による投影
不倫夫による投影発言は、言葉巧みに相手の弱点を突き、罪悪感や恥の感情を植え付けます。
お前は自分のことばかりだね
自分のことしか考えてないのはあなたです。
スマホ見るのは犯罪だよ?
不倫という不法行為をしているのはあなたです。
俺には自由がないんだね
私と子どもの自由と人生を奪ったのはあなたです。
これ以上俺に何を求めるの?
容姿・配慮・自由の提供…求めすぎなのはあなたです。
自分は悪くないと思ってる?
自分が正しいと思っているのはあなたです。
俺がどう思うか考えないんだね
私や子どもが苦しんでいても、見て見ぬフリしてるのはあなたです。
すぐ感情的になるし子どもだよね
自分の思い通りにいかなくて駄々こねてるのはあなたです。
いつまで被害者ぶってるの?
不倫してるくせに被害者ヅラしてるのはあなたです。
俺が風邪ひいても気遣いがなかったよね
不倫に病みながらワンオペ育児する私に、気遣いがないのはあなたです。
家族じゃなくて結局お金が大事なんだね
慰謝料・養育費は当然です。子どものためじゃなくて、自分の自由のためのお金確保に努めてるのはあなたです。
お前のしてることはモラハラだよ?
あなたのしていることがモラハラです。
仕事忙しいのに疑われたらしんどいよ
ワンオペ家事育児の上に、不倫と暴言で私を追い詰めてるのはあなたです。
不倫夫の発するセリフは、自己紹介と思えばOK!
具体例2:不倫夫の親による投影
不倫夫の親による投影も、よくある話。
親は基本、息子の肩を持つことが多いもの。(そうじゃない場合もある)
そのような親は、フライングモンキーの可能性があります。
フライングモンキー自身が自己愛人間であることも。
- 息子の言葉を信じたい
- 息子が悪い人間じゃないと信じたい
- だからきっと悪いのは嫁
- 息子が責められれば、親として否定された感覚になる
「悪い息子」と認めることは、自分が「悪い親」と認めるようなもの。自己愛の強い親はそれを受け入れることができません。
そして不倫で傷つく嫁に牙を向けます。
離婚は時期尚早。子どものこともっと考えるべきでは?
子どもの感情や人生を考えてないのはお宅の息子。だから離婚するんです。
夫婦ならもっと話し合って乗り越えていくべきじゃないですか?
話し合いから逃げ続けたのはお宅の息子。乗り越えようと何度も話し合いを試みました。
人は一度くらい間違いを犯すもの。許しあうことも必要です。
家族が苦しむ姿を見ながら、不倫を認めず辞めず、確信犯的に何度も間違いを犯し続けたのはお宅の息子。不倫を辞め反省するなら許しました。
勝手に離婚を決め慰謝料請求なんて、やり方が卑怯じゃないですか?
やっていることが卑怯なのはお宅の息子。勝手に不倫をし、責任から逃れ続けてますよね?
慰謝料の相場を知っていますか?常識ってものがあります。
常識がないのはお宅の息子。不倫し妻子を傷つけることは人間の常識ですか?
これ全部、元夫の親に言われた言葉。すごく悔しかったな。
私もこれから言われるかも…こんなこと言われたらすごく腹たつよ!
正論ぶって自己正当化するところ、自己愛不倫息子にそっくりです。
自己愛不倫夫による投影から身を守る方法
不倫夫に投影をされ続ければ、「間違ってるのは自分なんじゃないか」と、現実感覚が狂います。
そうすれば、何も悪くない自分を責め、自尊心が奪われる。さらに不倫夫の愛情や承認を求め、共依存の悪循環です。
自分だけではなく、子どもまでも自己愛の被害者・のちの加害者になることも。それを回避するためには、あなた自身の自己感覚をしっかり保つことが必要です。
方法1:言葉を飲み込まない
不倫夫の言葉を鵜呑みにしてはいけません。彼らは言葉巧みに、あなたを加害者に仕立て上げようとします。
しかしそれらは全て自分を守るため。
自分で自分を「善人」と思っていないと耐えられない、弱い心の持ち主です。
あなたが「私も悪いのかも」「そう言われればそうかもな」と自分を省みる姿勢を見せれば、彼らはそこに目をつけます。
- やっぱり俺は間違っていない
- 妻は俺を苦しめる加害者だ
- 俺には自分らしく生きる権利がある
と、自己正当化が加速します。
責任転嫁された際は、「これは投影だ!自己紹介を始めたぞ」と思い、毅然とした態度をとりましょう。
方法2:挑発にのらない
責任転嫁されると、思わず言い返したくなるもの。
私も何度挑発にのってしまったことか。自分を否定されれば、言い返したくて当然です。
しかしここはグッと我慢。言い返す価値もありません。
彼らは自分の言葉を信じ込んでいます。「投影した醜い自己像=本当の妻の姿」と思い込んでいる状態。
だから、感情や理屈が一切通用しません。
感情的に言い返す代わりに、以下のものに置き換えます。
- はい
- いいえ
- おうむ返し
- あっさりした相づち
具体的には、
- その部分だけは認めます
- そんなことはしていません
- そんなつもりで言ってません
- あなたは〇〇と思ってるんだね
- あぁ、そうなんだ
大抵これで十分です。
難しい質問や、すぐ言葉が思い浮かばなければ、「今はちょっとわからない」と言って離れます。
- それあなたのことじゃん!
- なんでわかってくれないの⁉︎
- これはあなたのせいでしょ?
- 自分はどうなのよ!
- 私こんなに頑張ってきたのに!
- 少しは子どものこと考えなよ!
これらのように、感情的になること・不倫夫に理解を求めることには、何の意味もありません。むしろ相手の劣等感を刺激し、あなたへの敵視が深まるだけです。
「わかってもらおう」という感情は一番の弊害なんだね。
方法3:心に境界線を引く
不倫夫が指摘するあなたの姿は、自己愛フィルターによって映し出された不倫夫の像。決してあなたのものではありません。
しかし、あなたまでもその偽りの像を自分のものと思い込む状態が、自己感覚を狂わせる原因。
だから不倫夫とあなたの間に、心の境界線を引きましょう。
どうやって境界線を引くの?
問題を切り分けること。夫の問題と自分の問題を混同させないことだよ。
何か言われても、「これは夫の問題。私のことじゃない」と思うようにします。
喜怒哀楽のわかりやすい人間は、心の中への侵入を許し操作されやすいもの。なので不倫夫の前では感情をシャットアウト。投影を跳ね返します。
二人の間に見えないガラスの壁を置き、顔には能面をつけてる感覚です。
不倫夫の心の問題で、あなたが自分を責めることはありません。
方法4:自分の価値観を問い続ける
最も大切なことですが、自分の価値観の軸がなければ、不倫夫に主導権を握られたまま。
「夫に嫌われたくない」「夫と離れられない」その思いを不倫夫は見透かしています。「どうせお前は何もできない」と、卑怯者に搾取されるだけ。
お金・子ども・世間体・孤独感…動けない理由にしていませんか?あなたが手放したくない利益は、あなたとお子さんの幸せの足枷になっていませんか?
以下のことを自分に問い続けてください。
- 私の本当に大切なものは何だろう
- この状態から生まれるものは何だろう
- この関係の先に本当に幸せがあるのか
本当に大切なものを守るためには、何かを捨てる覚悟も必要です。目の前の利益を守るために大切なものを壊しては、後悔してもしきれません。
目的と手段を決して見誤らないこと。
卑怯者に媚びへつらう人生からは何も生まれません。新たな被害者・加害者を生むだけです。
価値観を問い続けながら、いつでも動ける準備は必ずしておきましょう。
- 確実な証拠をとる
- 働く環境を整える
- 専門家に法的な相談をする
生殺与奪の権はあなたが持つんです!
投影は誰もがするもの
不誠実な人を美化
ここまで不倫夫による投影に焦点を当ててきましたが、実は投影は誰もがしていること。
私もしていますし、あなたもしている可能性があります。
不倫に悩むあなたはきっと、優しくて愛情深くて誠実で柔軟な人。そして自分のことより、子どもの幸せを何よりも考えていると思います。
誠実な人は、他者も当たり前に誠実な心を持っていると思いがち。
だからどんなに卑劣な行為をされても、
- きっと根は良い人
- 話せば分かり合える
- 子どものこと大切なはず
と、誠実さを相手にも投影します。
「昔は優しかった」という事実も、「誠実な夫」を裏付ける根拠にしているかもしれません。
しかし、その投影が現実感覚を歪める原因でもあるのです。
相手が自己愛人間の場合、他者はモノという感覚。「いかに利用するか」です。
夫に対してフィルターをかけ、美化するのはやめましょう。
他者に敵意を向ける
また、これは私が離婚前後に感じていたこと。
シングルマザーだから問題ある奴と思われているのではないか。偏見の目で見られたくないから、しっかりした自分でいないと。この人は私を下に見てるんじゃないか。
他者の気持ちを勝手に深読み。
- 私は理解されない
- 見下されて悔しい
- 私の問題じゃないのに
と、周りを警戒しピリピリしていた時期があります。
ですがこれも投影でした。
実際、世間はシングルマザーなんてあまり気にしていません(5年半シングルでしたが、これは段々わかってきました)。
本当は、シングルマザーを気にしていたのは他の誰でもなく自分自身。
- シングルマザーは恥ずかしい
- シングルマザーは問題がある
- シングルマザーは普通と違う
自分の中にあるシングルマザーへの偏見を他者に投影し、勝手に自己嫌悪に陥っていただけ。
- 自分の本当の気持ちは何だろう
- 弱い自分も自分であって、それでいい
自分の感情を自分でしっかり認識し、認めてあげれば、投影で自分を壊すこともなければ、他者を不快な気持ちにさせることもありません。
まとめ|自己愛人間による責任転嫁発言は自己紹介と思えばOK
不倫夫の言葉に、「それ自分のことじゃん!」と思わず反論したくなることありますよね。
それは本当に不倫夫自身のこと。彼らが責任転嫁をする際、必ずと言っていいほど行われるのが「投影」です。
相手に投影した自己像に対して攻撃を仕掛け、自分を正当化させます。
特に自己愛人間は、この投影による攻撃性が顕著。心の中に大きな劣等感を抱えているから。
劣等感や罪悪感に向き合うことのできない、心の弱い人間だよね。
そう。だから妻に負の感情を投影し、自分の問題から目を背けるんだ。
そんな言葉を間に受け、「自分に問題があるのかも」なんて思っては彼らの思う壺。
- 言葉を飲み込まない
- 挑発にのらない
- 心に境界線を引く
- 自分の価値観を問い続ける
不倫夫の責任転嫁発言には、「また自己紹介してるな」と思えば大丈夫。
投影に飲まれないために、また自分が投影しないために、自分で自分の感情の理解に努めることが必須です。
不倫夫の劣等感、あなたが背負い込む必要なんてありませんからね。
小心者の証!